定家と内親王の愛欲地獄

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姫路文学館内「望景邸」和室で、鷺諷会(謡曲を楽しむ会)の月例謡会開催。
「定家」と「田村」を謡う。定家葛をご存じだろうか。
一度繁殖すると絡みつく力が強い。


宗家の観世清河寿師はこれを愛欲地獄から抜け出せない女性の葛藤と解く。

後白河法皇の三女で幼くして賀茂の斎院に選ばれた式子内親王(しょくしないしんのう1149~1201)と、当時最高の歌人として有名な藤原定家(ふじわらのていか1162~1241)の死後も続く“ラブストーリー”。

神に近い存在の女性との許されない関係について、曲の中で内親王が「邪淫(じゃいん)の妄執」と語る通りの愛欲ドラマが繰り広げられる。

互いに死しても尚、葛となって内親王の墓に絡みつく。
内親王は僧の読経で成仏し、開放される喜びの舞の途中、定家に束縛される道を選び蔦の絡まる墓の中へ戻ってしまう。


雨の望景邸和室から老人の謡う声が内親王に届いただろうか。