■日常商品「牛乳」の価格と売上げ本数
年間売上げ200億円余のスーパー社長と懇談中の事例
特に著名でない牛乳2社の商品を168円と178円で併売をよくする。
売上本数比率はどの程度か?
条件は、規格上の品質は同じ。
ブランドの認知率も同程度である。
紙パックの形状、材質も同じ。
結果は
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|売上本数 | 168円 80% |
| | 178円 20% |
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なのだそうだ。
店側にすると、この両価格作戦で、
総売上が伸張するか
利益は向上するか
が課題である。
また、店舗集客に貢献するか?も大きな課題。
一方、末端価格10円の差は
粗利益で、3~4円の差。
ひょっとすると、168円が売れることが理解されてるので
粗利益は2~3円の差でしかないかも知れない。
そして、生産者・顧客から見ると、総需要は“量”として
増加するか?
この事例を、現在研修中の若者5人に意見を述べてもらった。
10円差では7:3とか6:4を言うものも居る。
10円高いのに何故?40%も30%もの人が安い方を避けるの?
理由を述べられる者は居ない。
一人が、「合理的思考なら、10:0でしょう」。
続けて「168円が売れ、一時的に棚から欠品したから仕方なく178円が10~20%売れただけでしょう」。
また、ある人は「10円の幸せかも知れません」。
「いつもいつも安い方に目が向くので、たまには178円も買ってみたい」。
この若者に、鰻重の話。
「松竹梅ならどのランクを食べる?」
「この場合は、ランク差が明快なのが牛乳と違いますよ」と。
そうすると、「最下層は避けたいと言う、習い性なので、『竹』を選びます」
その若者に、「その理由と178円を選択する理由は、同じ?」と質問。
「同じです」と、若者も自己分析できて不思議がってた。
わざわざ、“今日は張り込んで鰻重を食べよう”と
店に入って食べる鰻重のランク選択が
牛乳の10円高い商品選択の理由(感性)が同じとは?
この価格差満足は、総需要にはそれほど貢献しないだろう。
自己満足止まりなのだろうか?
商品の価格政策は購買動機とどこまで結びつけられるのだろうか