大阪能楽会館。(写真はHPより)
JR大阪駅から歩いて10分。
野口吟風会主催で入場料無料だ。
野口吟風会の能笛教室の発表会でもある。
街は大阪マラソン。
能楽会館内は、幽玄の世界。
観客は超満員で、500人以上だったろう。
地の利と無料も大きい。
又、出演者も観世清和、観世喜世、
福王和幸、福王茂十郎、片山九郎右衛門などそうそうたるメンバー。
演目は「千手」「」一角仙人」「檜垣」「三輪」「養老」と多彩だ。
狂言は「三番叟」「末社之舞」と舞を中心。珍しい。
朝9時から19時30分までの長丁場。
この中で、「檜垣」には参った。半能なのに1時間以上。
しかも、「詞章」(能で言う台詞)を謡うスピードは、超々遅い。
疲れるほど遅いのだ。
観世清和もわざわざ大阪まで出向いたので、滅多に演じることのない演目を選んだのだろうか。
会場には学生も散見された。
始めて能を鑑賞する機会がこの「檜垣」だったら、
敬遠気味になるだろう。
物語も面白くない。
100歳を超える亡霊が、昔歌姫として寵愛されたが故
今は地獄で苦しんでいる。
通りかっかた坊主に救いを求める。
美人で寵愛されたら何故地獄なのか(男が勝手にたぶらかされただけのこと)。
或いは、若い頃如何に寵愛されたか、100歳越えの老婆に自慢されても
面白くもない。
能を愛する(小生もそうだが)多くの人は、
その作品、家内興業としてのセミプロの演技が良いものだ、としてしか捉えない。
疑問がないのだ。
しかし、つまらないものはつまらない。
本当に老女ものが面白いのだろうか?
正直に感想を述べて欲しいものだ。
クラシック音楽でもそうだが、演者満足が過ぎると白ける。
能の問題点を挙げると切りがないが
もう少し観客満足を考えて欲しい。
「無料なので、文句を言うな」なら仕方ない。
しかし、雨模様の演能は盛会だった。
主催者側のご苦労は、ひしひしと感じる。
感謝。