発明が生かされ、商品化されるまで

 トレハロースの商品への物性効果を野菜パンでアピールできました。野菜を調理するときトレハロースを一定の割合で染み込ませると、野菜の持つ水分がパンに移行しにくいことを実証しました。調理野菜の水分が高くても、野菜とパンの接触面がジュクジュクした物性になりません。転職後の当時の経営者が、この現象を気に入られて、朝日新聞に一面広告をうたれました。

 しかし、当時の社内はそれを「保水性」と表現しました。しかし、ミクロでは保水かも知れませんが、食品的物性を表すのに「保水性」と言う言葉に当時違和感がありました。「保水性」は、水量を大量に含む力をイメージします。

 今回、古い新聞広告を思い出したのは、コロナ感染予防策として「ロックダウン」と言う言葉が広まったコトによります。まさに、パンの組織に野菜の水分をロックダウンしています。

 自分の発想・アイデアで多くのヒット商品を生む満足感は、「ねるねるねるね」「ツブポン」「ムクムク」などで、何度も経験しましたが、発明そのもがアピールされたことは意外になかったような気がして、嬉しかったことが思いだされます。

 写真は、モノクロでわかりにくいのですが、野菜の水分移行阻止力を表現されています。2000年4月12日。

f:id:take71kame70:20201206222819j:plain

トレハロース入り調理野菜がパン組織に水分が移行しない様子