プカポンの発案について

 技術的課題は、商品製造工程において、生産性向上、つまり加工費が低減できる、品質向上できる、品質のばらつきが少なくなるなどが挙げられます。

 概ね課題は、開発担当した時から目の前に突き付けられているのです。生産スピードを上げられないか、原料チェックでは何が大切か、品質のばらつき検査は流れ作業のままできないか、などの解決法です。その解決法発見・発明が担当者の発案能力です。

  しかし、ここでは新商品の発案について体験を述べます。1960年代に粉末ジュースは各家庭のメインの清涼飲料でしたが、1970年代に入り、激減しました。大きな粉末加工工場の製造設備が稼働しないまま残りました。最初の稼働大作ヒット品がカップしるこでした。N食品がカップ麺を発売し、大ヒットしました。ここで、誘発され粉末しるこを開発されました。カップ容器メーカーは直ぐに、対応してくれました。市場の広がりを予想していたのでしょう。しかし、カップしるこは、冬場の季節商品であり、年ごとに売り上げは漸減していきました。一方、新商品開発と言う言葉がブームでもあり、研究所で私を含め3人だけ、粉末関係新商品開発グループが結成されました。

 そんな時、M製菓のプク〇クが気になりました。この改良版を目指しました。テーマは、粉末を塊に成型し、コップ上面に浮かし、しだれ柳の様に溶け落ちるのです。実現できませんでした。M君が、「コップに浮き沈む」と言う「動き」を課題にしました。その時、小さなラムネ菓子は、発泡タイプの飲料中で、上下することを発見しました。当初は、たくさんのラムネ菓子(錠菓)が浮き上がったところで、溶けながら落ちてくる目論見でした。しかし、打錠機には滑沢剤として食用油脂が必要でした。そのラムネ菓子は解けません。しかし、面白さ、楽しさ訴求は開発中に「動き」に転じてましたので、プカ〇ン誕生に結びつきました。M君の大発見でした。開発課題の手段解決が目的ではなく、本来の目的である面白さ、楽しさであることを忘れなかったのです。M君はその後、冷たい牛乳中でも溶けるココアの製造法を開発しました。残念ながら、M君は広島の有名な自動車会社に転職していきました。機械工学専門の彼の発想センスは、化学家である私の、後の商品開発に大きく影響しました。