AGF 5%果汁入粉末ジュース「フルーティ」へ対応策の発案

 1970代後半、粉末飲料の市場はコカコーラ、ファンタドリンク、バヤリースオレンジジュースなど、液体飲料が自販機の進展に伴い主力となり、見る影もなくなっていきました。そんなとき。AGFが5%果汁入り粉末ジュースを瓶入りで発売しました。粉末加工分野の研究員として、対応策を検討しました。AGFはフリーズドライの果汁と香料を閉じ込めた粒状の香料を使用していました。フリーズドライの果汁を安価に仕入れるルートが無く、粒状香料は香料会社との共同開発品なので取り込むこともできません。目を付けたのが、グラニュー糖です。ザラメ糖と反対に、小さな結晶糖です。

細めグラニュー糖です。次に、目を付けたのが濃縮果汁の濃縮度です。

7倍濃縮果汁を細めグラニュー糖に拡販しながらニーダーに混ぜていきます。濃縮度が高くても、べとついて混合後の乾燥は大変でした。

 ここで、細めグラニュー糖を予め熱しておき、濃縮果汁を規定量加える方法を思いつきました。何とか、べとつきを抑えましたが、混合しながら乾燥時する必要がありました。ここでM君が閃きました。細めグラニュー糖の加熱と、混合を一度にできる方法です。レボリングパンを用います。レボリングパンは、金平糖やチョコ掛けに用います。

ほぼ目標達成です。更に、この試作品を細めグラニュー糖のメーカーに見せ、相談したところ。フロストシュガーを提案されました。予め顆粒状になっており、アイスコーヒーにも溶けます。

 フロストシュガーをレボリングパンで回転しながら熱し、加熱した濃縮果汁を超微粒噴霧します。短時間で乾燥するため果汁の品質も殆ど劣化しません。M君との共同発案でした。 

 10%果汁の粉末ジュースが完成しました。精糖メーカーにも大好評で、新発売となりましたが、売れ行きはさっぱりでした。もう、粉末ジュースの時代は終わったのです。しかい、発案した喜びは45年経っても残ります。