班女から隅田川

能の「隅田川」は
同じく「班女」の後日談的物語とも言われる。

班女の物語は
吉田少将が、都から岐阜県へ出かけるときに立ち寄った
野上の里の遊女花子に惚れる。
帰途再会の約束で扇を手渡す。
しかし花子は居なかった。
吉田少将を思うがあまり
他の客と接することをいやがる花子を女主人は、
里を追い出してしまったのだ。
都で恋の願いを叶え給えと神に祈る班女(花子)に、
少将の従者が声をかけると
その女は少将の扇を持って踊っていたのだ。
めでたく再会、結ばれる。

花子と少将の間に、めでたく「梅若丸」が生まれる。
しかし、才気溢れるが故に、梅若丸は不運に見舞われる。
そして「隅田川」に通じる。
仏でも救えなかった辛い物語だ。